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牡 蠣 の 調 理

  • オーストラリア人は牡蠣が好きだ。しかし、牡蠣も好きだが海老はもっと好きらしい。更にもっと好きなのは肉で、ビール片手にバーベキューが日常の楽しみとして行われる。人柄も明るくとっつきやすいのがオーストラリア人である。魚は一般的に油で揚げる料理である。購入場所はスーパーかフイッシュマーケット。既にご紹介したようにフイッシュマーケットには一般人も入れる。牡蠣は生で食べるのが多いというが、調理しても食べる。その方法は牡蠣にベーコンとかクリームチーズをのせてオーブンで焼く、というのであるから、十分にカロリーをとることになる。20年位前に大腸ガンが世界で多いほうの国だったので、少ない国の日本を調べたら、魚介類を多くとっているというデータに気づき、厚生省から魚を食べるようにし、肉と肉を焼いた後の焦げに注意するよう指示が出された。
  • 世界長寿ベストテンに入っている。2003年WHOデータでは男性が第三位77.9歳、女性は第五位83歳である。因みにこの年の日本は男性78.4歳、女性85.3歳でいずれも一位。特にホークスベリーあたりは、オーストラリアでも高齢者が多いことで有名。この地区は川が多く、家が少なく、病院は近くにない。そこで地域医療制度が充実している。巡回診察などである。

オ イ ス タ ー フ ァ ー マ ー

  • このブルックリンに観光客が来る目的の主なものはクルーズである。船に乗って魚介類を食べて海を走る。景観がすばらしいのと、新鮮な魚介類、つまり、牡蠣と海老が大人気である。さて、牡蠣養殖業者はオイスターファーマーOYSTER FARMERSと呼ばれる。そのオイスターファーマーのロバーツさんに会いに行く。ロバーツさんは四代目。このブルックリンでは120年前から牡蠣養殖が始まっているが、自分のところは70年前から始めたという。
  • ロバーツさんは早速に艀の先に案内してくれる。海と森とのマッチングが美しい。ただし、ブッシュバエが頻りに襲ってくる。顔にも首にも手にも。下手をすると口にも入ってくる。ロバーツさんは半そでで半ズボン姿。左腕の肘に擦り傷と思われる傷がある。そこに何か黒い塊が出来ている。傷口の瘡蓋と思って注意してみたらブッシュバエが三匹止まっているのだ。ロバーツさんは全然気にしなく、それを追い払おうともしないが、こちらは気になる。取材を続けながらその塊につい眼が行ってしまう。

潮 の 満 ち 干

  • 牡蠣養殖であるから、その場所を見ようと思っていったのだが、筏は見当たらない。勇んで艀に向ったのに、どこを見渡しても牡蠣養殖の筏が見当たらない。だが、牡蠣養殖業者のロバーツさんは熱心説明してくれる。ロバーツさんに名刺を貰ったのでみてみると、ロバーツさんは企業化している。社名はMOXHAM P/Lとある。社名の意味は分からない。意味を聞く暇もなく、ロバーツさんは熱心に語り続ける。フランス人もよくしゃべるが、オーストラリア人も負けないほどよくしゃべると思う。牡蠣養殖の方法を説明してくれるのであるが、どうも実感がわかない。それもそうだろう。海に牡蠣養殖の影も形もないのだから。とうとう我慢しきれなくなって、ロバーツさんの活発な語りの途中であったが「筏はどこにあるのですか」と聞いてみる。答えは「あそこだ」と指を指す。指した先は海が広がっているばかりである。この指差した写真が以下である。どこにも筏は見当たらない。
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  • 潮が満ちているので、筏は見えない。困ったというと、小屋からパネルを外に運び出して写真に撮ってあるもので牡蠣養殖の方法を説明してくれた。また、このパネル写真を贈呈してくれたので助かった。とにかく海の中に埋没しているものは撮影できない。潮の満ち干の高さは2メートル程度。フランスのブルターニュの8メートルに比べると随分低いが、それでも筏は見えなくなるのである。

牡 蠣 養 殖 法

  • 牡蠣養殖法は、まず牡蠣が産卵するときに2メートルくらいの棒を入れて、その棒に卵を付着させる。牡蠣は何かに付着したい性質を持っているので、棒に付着する。この棒のことはなんと言うのか、名前を確認したが、ステック・棒というだけで特別の名前はない。稚貝育成棒というべきであろう。この棒についた卵から稚貝になり、形状がはっきりした段階で、ラックに移す。ラックは幅1メートル、長さ2メートル程度のもので、回りが木枠で下側の一面に網が敷いてある。棒もラックも最近はプラスチック製が多くなっている。ここに牡蠣を載せて海で育てるのである。二年半から三年半掛かって市場に出せる大きさの牡蠣になる。これはシドニーロックオイスターSYDNEY ROCK OYSTERの場合である。パシフイックオイスターは一年で大きくなる。このパシフイックオイスターはマガキのことである。
  • これがオーストラリアの牡蠣養殖の方法である。