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オ イ ス タ ー バ ー、オ ー ナ ー は カ ミ ラ さ ん の 元 旦 那 と 兄 弟

  • 今回は特別企画としてロンドンの著名オイスターバーへ皆様をご案内したい。ご案内するのはGREEN’Sのゼネラル・マネージャーのマーク・ハリー氏MARK HARRISである。GREEN’SはDUKE STREET ST.JAMES‘Sにある。マーク・ハリー氏はまだ若い。イギリス人らしい態度で人をそらさない応対をする。そうだろう一流店を任されているのだから、接客能力が高いのだろう。店内のテーブルに座って説明を受ける。この店のオーナーはSIMON PARKER BOWLES氏。1982年オープン。オーナーの兄弟はカミラさん、チャールズ皇太子の奥さんの元旦那のANDREW PARKER BOWLESである。
  • 1982年にオープンした。伝統的な英国料理である。素材を活かした楽しみの料理で、シンプルな素材味が売り物。ランチタイムには近くのビジネスマン、金融関係と画廊関係が多く、いわばニューマネーとオールドマネービジネス客で一杯になる。ディナーは近くのホテル宿泊のツーリストや金融関係商談ビジネスマンが多い。日本人も来る。亡くなった皇太后や、アン皇女、マーガレット・サッチャーも来 て筆者の座った席にいつも座る。勿論昔の関係でカラミさんもくる。俳優ではキャサリン・ターナー、シェリー・テンプル。残念なことにサッチャーは牡蠣を食 べないらしい。

牡 蠣 は 2 種 類

  • さて、メニューの牡蠣は二種類である。OSTREA EOULTSこれはNATIVES。もう一つはCRASSOSTREA GIGASで、これは ROCKという。従ってネイティブとロックオイスターの二種類である。ロックオイスターはパシフックオイスターともいう。ネイティブはフランス牡蠣ブロン のこと。ロックオイスターはマガキのこと。ネイティブという意味はイギリスで産卵し育てたという意味である。ロックオイスターは他国から稚貝を輸入し育てたもの。ネイティブはRのつかない5月から 8月は扱わない。身の中で卵が膨らんで美味くないからという。Rのつく9月から4月まで扱う。このR思想をロンドンの著名オイスターバーで聞くとは思わな かった。R神話は美味いとか不味いの問題ではなく、牡蠣資源の確保から言われだしたことであって、今は消えていると思っていた。しかし、ここではR神話が 残っていた。仕入先は二ヶ所。毎日配送してくる。昨夜の6時に注文して今日の朝8時につく。ネイティブの方が人気ある。ただし絶滅寸前との話。こちらではナンバー2といっているネイティブ100gの10年物が一番人気。9月1日の解禁日に必ず来 るお客さんが昔いた。6ダース食べてワインを飲んでシャンペインでデザートして300£支払っていく。ここ数年来ないので亡くなったかもしれない。

店 長 が 牡 蠣 剥 き す る

  • このマーク・ハリー氏は、シェフの見習いもしたことがあるということで、自ら牡蠣を開けてくれる。なかなかうまい。巧みに開ける。ロックは貝柱に近い横か ら。ネイティブは蝶番の方から開けて貝柱を切り取る。殻を開けたら反対側にする。見栄えをよくするためだ。内臓の方を裏側にする。以前ブリッセルでEU会 議があり、そのとき1人で600個開けた経験がある。3時間かかった。ロックの方が難しい。ネイティブの方が簡単だという。反対ではないかと言うと、違うという。
  • 開け方の修業は当店のエカイエ、イギリスではエカイエという名称があるかどうか分からないが、ペルー人のペペPEPE ESPINOSA  UALERIOに習ったと言う。ペペは100個を開けるコンクールで優勝した。オイスターバーとして超有名な、同じロンドンの直ぐ道路一本向こう側を入っ たところに位置しているベントリーBENTLEY‘S、ここが主催するコンテストでペペが優勝した。ペペは世界記録の7分32秒の記録を持つ。ここで優勝 するとアイルランドの世界大会に出場する。

価 格 は 品 川 と 同 じ

  • 当店の価格はロックが6個で10£、一ポンド210円で2100円÷6=350円。ネイティブは6個で16£。3360円÷6=560円。東京品川のNY グランドセントラル直営のオイスターバーでは、ブロンは一個480円、オリンピックミヤギが一個450円だから、ロックとネイティブの平均とると一個あた りの価格はほぼ同じだ。客は9月が特に多い。ネイティブの解禁日だから。1人で6個から6ダースの人もいて幅がある。牡蠣はロマンテックな効果がある。デイトの前に食べるとよいと強調する。イギリス人は牡蠣を食べるとあたると思っている人が多い。だから明日も明後日も休んでよいと思うときは牡蠣を食べるが、そのほかのときは食べない。勇気が ないと言う。マーク・ハリー氏同じアパートに住んでいる女性の例だが、この女性が牡蠣にあたってそれ以来牡蠣は食べていない。そこで素面のときに冷静に説 得し、改めて牡蠣を食べてもらったらお腹は壊さなかった事例がある。牡蠣は新鮮なものを食べればあたらないのだ。その通りと思う。自分の経験でよく分か る。

牡 蠣 に は ム ス カ デ

  • ワインはムスカデが合うと言う。牡蠣にはレモン、胡椒、タバスコ、エシャロットソース、これはみじんきりにしたエシャロットとガーリックと白ワインビネガー、赤ワインビネガーにリンゴを入れて作る。さて、マーク・ハリー氏が開けた牡蠣がでてくる。レモンはガーゼで包んである。種が落ちないようにしているとのこと。おしゃれだ。マーク・ハリー氏はエ シャロットソースをたっぷりかけて食べる。ネイティブは10年もの。ロックは4~5年もの。ワインはムスカデ。こちらもマーク・ハリー氏を見習って食べて みる。なるほど評判だけの味である。NYやパリに負けていない。

ウ ェ イ タ ー は 王 子 と 同 級 生

  • マーク・ハリー氏はこの仕事に情熱を持っている。食事のことなら何時間でも話していられる。他のことはダメだが、と言う。情熱を持っていればいつも元気だとも言う。そこへ新人のウェイターが皿を下げに来た。するとマーク・ハリー氏がその新人ウェイターを紹介してくれた。他のウェイターは紹介しないのに妙だと思った ら、この新人はイートン校を卒業したばかりの21歳で、ハリー王子と同級生だという。さすがにロンドンの一流店はウェイターまで違うと感じた GREEN’S体験でした。
  • 2006年03月13日