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世 界 牡 蠣 剥 き チ ャ ン ピ オ ン 大 会

  • sign_33.jpg会場出入口、スポンサーはギネス
  • 2009年9月24日、パリからアイルランドのシャノンSHANNON空港に行き、そこから路線バスでゴールウェイGALWAYへ向った。窓の外は途中荒涼たる景色が続くが、道路の傍らの住宅、結構大きくて瀟洒な感じ。しかし、いたるところに「FOR SALL」の看板が出ている。
  • ゴールウェイはアイルランド・コナート州の主要都市で、アイルランドで最もやせた土地といわれ、ピューリタン(清教徒)革命を行ったイギリスの最高指揮官オリバー・クロムウエルのアイルランド侵略時に、土地を追われたアイルランド人が強制的に移住させられたところで、今でもゲール語が日常生活で使われているような地域である。
  • また、この街はゴールウェイ大学が有名で、人口6万人の五分の一が学生であり、多くの国際的フェスティバルが開催されている。
  • その一つが世界牡蠣祭りGALWAY INTERNAYIONAL OYSTER FESTIVAL、今年で55回を迎えている。この地で牡蠣祭りが行われるようになったのは、毎年9月が観光客の少ない時期なので、その対策として企画され、1954年から始められたが、この祭の中心イベントは世界牡蠣剥きチャンピォン大会である。この大会に来る観光客で最も多いのは地元アイルランド人、次にイギリス人、ドイツ人。
  • この地の天候はいつも曇っていて、晴れる日は少ない。厳しい、さびしい風景を見飽きたので、到着した2009年9月24日の夕食、繁華街キース・ストリートに行ってみると、若者が通りに溢れ、ハブもレストランも人でいっぱいである。
  • アイルランドは金融危機以後経済悪化であるから、街中のさびしいと思っていたが、予想と大違いである。
  • さらに、9月27日の世界牡蠣剥きチャンピォン大会会場のホテル宴会場、ここも満杯で1500人ぎっしりの大入り、大盛況である。
  • sign_34.jpg選手の奮闘を見つめる人々
  • さて、世界牡蠣剥きチャンピォン大会の参加費は55ユーロ、事前に購入した入場券を渡すと、手首に参加章バンドをつけてくれ、ギネスビールとワインとの交換券が三枚、それとサラダ・サーモンの食事券が二枚を渡してくれる。
  • ギネスを飲みながら牡蠣とサラダを食べ、開催時間を待つ。舞台では男性歌手が歌い続ける。途中で女性歌手、この頃から盛り上がってきて、多分、アルコールが入ったのだろう、フロアで踊りだす人が増えてきた。
  • 日本人もいる。女性は語学勉強でダブリン滞在中の二人組と、ワーキングホリディの一人。若い男もいる。聞いて見るとロンドンからダブリンを経てきた一人旅である。全員、情報は「地球の歩き方」を見て来たという。
  • 14時になる。司会がいよいよ選手の入場と告げる。15人参加者というが、14名に変更と告げられる。
  • 舞台にテーブルが出され、最初の組が読み上げられる。エストニア、スペイン、シンガポール、フランス、ノルウェー。牡蠣剥きスタートまでがカウントされる。9から1まで司会と会場内か声合わせると、1でスタートする。0ではない。
  • 剥く牡蠣は、世界で最も多く流通し生産されている日本原種のマガキでなく、通称フランス牡蠣ともブロンともいわれる平牡蠣であるから、ゴールウェイでは平牡蠣がたくさん採れるが、アイルランド以外の国では珍しく、当然に日本では全く食べられない牡蠣であるが、それをいかに早く剥くか、その勝負が競われるのである。
  • したがって、平牡蠣が普通に多く養殖されている地元アイルランド以外の国は、普段はマガキを剥くだけなので、大変だと思うが、それはそれいずれも腕自慢の牡蠣剥き職人だから挑戦したのだろう。
  • 次の組が入場。デンマーク、イギリス、アイルランド、フィンランド、ベルギー。アイルランドの選手が一番嬌声と拍手で盛り上がる。ケルトのタイガーと司会者が声上げる。
  • 最後の組。スェーデン、カナダ、アメリカ、チェコ。アメリカに一番拍手が多いのは、ゴールウェイにアメリカの薬品会社が多く、そこの関係者がいるからであろう。
  • sign_35.jpg牡蠣を剥く選手たち
  • 三組の牡蠣剥き挑戦があっという間に終わり、選手は剥いた牡蠣に手を触れないで控室に戻っていく。これから別室で厳正な審査が行われ、順位が決まるが、その間、またもや、舞台で音楽が演奏され、歌手が歌いだす。フロアは音楽と歌手と踊りで盛り上がる。この頃はかなりビールとワインが入っているので、会場内は暑い。
  • タップダンスの若い女性四人と少年二人の舞台が終わるころから、盛り上がりが急上昇し、両手をあげ、手を組み、拍手し、大勢の人が踊り合い、知らない同士で肩組み写真撮って、会場内が一体化する。だが、一定の暗黙のルールがあるかのように、熱狂化した中で秩序が保たれている中、最後にアイルランド音楽が演奏され、いよいよチャンピオンの発表に入った。