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魚 屋

  • ジョージ・ノーマン氏がオーナーのダブリン魚市場の、道路を挟んだ真向かいに魚屋が五軒並んでいる。その一軒を市場の社長に紹介され訪問する。行ってみると思いがけなく立派な店。案内してもらう。氷の上に魚がきれいに並んでいる。
  • 左からレイザークラム(マテガイ)、牡蠣、ザリガニ、サーモン、タラ、タイガーエビ、タブリン湾のエビ、ツナ、マス、カレー、アンコウ、エイ、ステークタラ、ニシンの燻製が切り身で並んでいる。
  • その隣の台には魚が本来の姿のままで並んでいる。スズキ、タイ、タルボット(カレーの一種)、サバ、タコ、イワシである。魚が生きているように並べている。客も結構入ってくる。地元の客だけでなくタブリンから来るらしい。このあたりは移民が多いのでその人たちも来る。インド人、中国人など。客は一日中入ってくると言う。生粋のアイルランド人は肉が好きで魚はあまり食べないが、ここはその中でも魚好き人種が来るらしい。
  • 魚屋の仕入れは前の市場からしている。訪問した魚屋のマネージャーが分厚い胸をそらして自慢げに教えてくれたが、ここ数年売り上げは伸び続けているらしい。アイルランド人は肉が好きではあるが、健康には魚がよいと知り始めたからだと言う。
  • アイルランド人は魚を生では食べない。蒸すか焼くかフライパンだ。魚を食べることはこれからが期待できる。というのもアイルランド人も景気がよいので外国に行き始め、そこで魚料理を味わってくる人が増えたから、徐々に魚を食べ始めたと言う。特に最近の客傾向として魚一尾をそのまま買う人が増えてきた。それは魚を怖がらなくなっているという証明だと強調する。だからこの商売は魅力的で将来性があると一段と胸を張る。その通りと思う。是非アイルランド人が自分達の国が海に囲まれているのだから、その地理的条件を活かして魚を食べて長生きして欲しいと思う。
  • sign.jpg魚屋の店内
  • さて、牡蠣の話に戻るが、牡蠣の殻を一般人は開けられない。だからといって、この魚屋で開けて出すのは手間がかかるのでしない。そこでレストランに卸したほうがよいと思っていて、それで商売している。自分で牡蠣を開けて、家で食べるのは本当に少ないらしい。
  • 今年は新しい企画としてバレンタインデーに、牡蠣が売れると思ってスーパーに提案し施策を組んだが、失敗だったと言う。牡蠣は売れなかったのだ。しかし、今後も挑戦していきたいと強調する。今までは魚屋とレストランと取引していたが、今後はスーパーに力を入れていくことで、一般の人たちに魚を食べることを広げたいのだ。とマネージャーは明るく前向きの姿勢である。期待しているとエールを送ってお別れした。