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クロアチアの牡蠣は世界で一二を争う美味さ

  • さて、いよいよ牡蠣である。クロアチアの牡蠣は美味い、というのが旅行者のブログで語られているので、まずは、それをいくつか紹介する。
  • 1. クロアチア旅行の宣伝パンフから
    • 塩田で有名なストンの街は牡蠣の養殖もさかんで、アドリア海で一番といわれているほど。当コースでは、このうま味をたっぷり含んだストンの牡蠣もお召しあがりいただきます。
  • 2. 牡蠣を食べた人の評価
    • ① 噂通り、牡蠣は絶品でした。目の前の海で養殖されているということもあり、鮮度はお墨付き。ブルターニュでも牡蠣三昧をしましたが、それに比べ小振りで繊細な味でした。追加オーダして、結局二人で15個ぐらい食べてしまいました。ドブロヴニクで出される牡蠣もここから出荷されているそうですよ。
    • ② マリンストンのレストランで食べてみたいのは、なんといっても生牡蠣。塩と並ぶストンの名産で日本では牡蠣といえば「広島」とか「宮城」だけど、クロアチアで牡蠣といえば「ストン」なのだ。レストランのまん前は牡蠣の養殖場。採った牡蠣をその場で剥いて出してくれるんだから 新鮮なことこのうえない。1年中牡蠣が食べられるとあってドブロヴニクからわざわざ車で食べに来る人もいるくらい。ストンの牡蠣は日本のものとちょっと違って平牡蠣という、平らでうすいタイプが多い。レモンを搾って、つるっといただくのがこちら風だ。
    • ③ 塩田で有名なストン、牡蠣の養殖でも有名でクロアチア最高の牡蠣と言われているそうです。ストンは2つの集落に分かれていて、塩田はヴェリキ・ストン、牡蠣養殖場はマリ・ストンにあります。かなり運動してお腹が減ったので、時間が中途半端ですが、折角だからシーフードを食べようということになり、オープンテラスのレストランに入って、店のおススメのシーフードの入ったパスタ、リゾット、サラダ等を食べたんですが、やはり一番のお勧めは生牡蠣ですね出てきた牡蠣は日本のものと違い丸い形をしているんですが、味が日本の牡蠣と比べて癖がなく、お腹が空いていたこともあり凄く美味しくて何度も追加で注文してしまいました。牡蠣の値段は、忘れてしまいましたが、確かこの後行くドブログニクの半値ぐらいで、鮮度が違うせいか味も断然ストンの方が美味しかったです。
    • ④ そして!もちろん!忘れてはいませんよ!牡蠣牡蠣♪。日本の牡蠣と違って、まあるくてぺったんこの牡蠣なんですが・・・めちゃめちゃ美味っ!レモンをぎゅぎゅっと絞ってかけただけの牡蠣なのに、潮気も絶妙で臭みもないし本当にすっごく美味しかったです。『ヨーロッパ1美味しい』って言われているそうですよ。
  • このような評判のクロアチア牡蠣。その産地はドブロヴニクから35㎞離れたMali Stonマリ ストン湾である。旅行者がブログで美味いと大宣伝しているので、ストンに着くとすぐにレストランに入ってみた。時間は14時過ぎで、客は誰もいない。誰もいないというレストランは、何となく心配であるが、折角なので牡蠣を注文した。白ワインは地元のワインをグラスで二種類を店に任せて出してもらう。
  • いよいよ生牡蠣が出てきた。味はどうか。あまり感心しない。こちらは世界中で牡蠣を食べている舌だ。その基準から判断すると、ブログで旅行者が褒めたたえる程ではないと感じる。まぁまぁというところだ。ワインも牡蠣向きでないような気がするが、出されたので少し飲む。何となく不満のまま、この日は早めにドブロヴニクに入り泊った。
  • 早速、噂が高い世界の代表的観光地であるドブロヴニクを歩いてみた。まずは旧市街の城壁内に入らずに、背後にそびえる標高412mのスルジ山にロープウェイで登り、旧市街を真上から見渡してみた。

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Croatia_03_03.png旧市街に戻って城壁に登って歩いてみる。階段が急で長く息が切れるが、空中散歩という感じで、ここでも街全体像がわかる。旧市街地を歩いてみると、細い路地には民家と民家をつないだ路地の上に洗濯物が干してある。クロネコが昼寝している角にはオシャレな喫茶店やブテックがあり、中世から続いている薬局もある。
夜になると、プラツァ通りをはじめ、主な場所はライトアップされて石畳が濡れたように妖しく光る状態を見たとき、このような巨大なモニュメント遺跡は日本にないという現実と共に、世界中の人々が、この素晴らしいモニュメントを目指してやってくるという実態を現地で確認した。

  • それと地政学的に見て、日本は極東に位置している。パリが8000万人もの観光客を集めるのは、ヨーロッパの中心に位置しているということも有利につながっているように、クロアチアも西ヨーロッパであって、ヨーロッパの旅行客は来やすいだろう。反して、日本は海に囲まれている。ドブロヴニクをジックリ歩きまわってみて、考えたのは日本の観光大国化への道筋の難しさであった。人口減対策として、日本滞留人口増を図るため、外国人観光客の増加策を研究し、各地でセミナーを開いているが、ドブロヴニクに圧倒され、すこしばかり悲観的になってしまった。だが、日本は日本の良さがあるわけで、それを訴求するため、改めて工夫し努力しようと考えたドブロヴニクであった。

クロアチア・アドリア海の状況

  • ここでクロアチア・アドリア海について全般的な状況を確認しておきたい。出典はBiological Institute生物学研究所20000 Dubrovnik クロアチアの「クロアチアにおける軟体類水産業の過去、現在、将来的状況」(1997)である。
  • まずはアドリア海の全般である。「地中海の最北部の湾であるアドリア海(面積、138,595平方キロメートル;平均深度173メートル)はその位置的、化学的、生物学的な特性により、北部、中部、南部に分類することが可能である。北部は浅く、深度50メートルを超えることは殆どない。
  • 水温は6度から27度と広い範囲で変化し、ポー川からの多量の流水により、34%から37%の塩度を含む。主に内陸部からの多量な栄養素に因り、生物生産量は他の地域よりも高い。種類の限られた、沖部群集等の生物が大量に遠洋に生息することからも、その豊かさが見られよう。
  • 中部は100メートルの等深線からパラグルジャ島入口まで広がり、Jabuka村付近では深度が最も深く(200メートル)、水温は10度から25度、塩度は36%から38%である。内陸部からの影響は比較的少なく、エコロジーに起因する変化は少ない。
  • 南部はパラグルジャ島入口からイタリア南東部の海の入り口まで広がる。イオニア海の海流の影響を直接受けることにより、地中海の開いた部分とやや似ている。海深は深く(最深1,334メートル)水温幅は11度から23度、塩度は37%から39%。内陸からの影響は最小限である。
  • エコロジー的な特徴はクロアチアの海岸線で河口が閉じている湾と、部分的に開いている湾とでは若干異なり、海底の水が生息地へ与える影響は大きい。クロアチア沿岸は主にライムストーンによる岩で形成されている。貝類が豊富に育つ地域は、河口付近や閉じた湾の土の海底に限られる」
  • 牡蠣に関しては以下の通りである。
  • 「クロアチアの主な貝類の生産はアドリア海南部の都市ドブロヴニク市付近のBay of Mali Stonマリ ストン湾で行われている。この湾は入り江になって外界から保護されており、多くの地下水にも恵まれていることから、養殖に非常に適している。深さは10メートルから26メートル、水温は10度から25度、塩度は24%から37%である。
  • 海底は土砂状である」牡蠣生産高はデータが古いが次の通りである。「クロアチアでの牡蠣の生産高は1990年でおよそ2百万個。そのうちマリ ストン湾での生産高が60%を占める。全ての商品が生で売られ、殆どが地元のマーケットで、1個US$0.10で販売される。約30%がイタリアへ輸出される」
  • マリ ストン湾のアドリア海での位置は下図○印のBにあたる。
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