Sylt ズィルト島

  • ハンブルグ空港からAIR BELIN エア・ベルリンの国内線に乗り、Syltズイルト島のWESTERLANDヴェスターランド空港へ向かった。エアーは12時15分発で13時25分に着く。割合近い。
  • ズィルト島の気候はメキシコ湾流の影響を受けた海洋性気候。面積99平方キロメーター、ドイツ最北端の北海の島で、アラスカの南端と同じ位置にある。約8千年前、本土から切り離された。
  • 幅の狭い所は500mしかなく、何百年の間、島の住民の糧と言えば船乗り、海賊、捕鯨であったが、今では観光が重要産業となって、自然保護に強い関心を持ち、島の半分近くが自然風景保護地区に指定されている。
  • 到着したヴェスターランド空港は、とても小さな空港である。その上、今は観光シーズンではないので、客は少ない。
  • 空港内にさびしそうにポツンと置いてあるパンフレットに島の全景掲載されている。島の上空から撮った写真を示したが、何と例えればよいのか分からない面白い形をしている。
  • 敢えて表現すれば、アメリカ・ニューヨークのロングアイランドみたいだと思う。
  • ドイツ02_01.png(ドイツとデンマークの境にあるSylt島)
  • ドイツ02_03.png(Sylt島の航空写真)
  • ドイツ02_04.png(国境の島だとわかる)
  • 空港から宿泊先のFährhaus Sylt フェリーハウス・ズィルトへ電話すると、すぐに出迎えの車がきたが、驚いたことにドライバーは半そでワイシャツだ。寒くないのか。11月のデンマーク国境の地だ。当方は当然に寒いが、地元なので慣れているのだろう。ホテルは海岸に位置している。フェリーハウスとは簡易ホテルみたいな名前だが、立派な五つ星リゾートホテルである。ドアを開けて入るとそこはフロント、正に満面の笑顔というお嬢さん二人が迎えてくれる。さすがは五つ星、応対が違うと唸る。
  • この笑顔が素晴らしいお嬢さんが「まだ部屋が整っていません」というので、近くのSolring Museen ゼルリンク ムゼーンと読み、ゼルリングはフリーセン地区であるから、ズィルト・フリーセン郷土博物館と訳すと思うが、フリーセン地方の昔を展示してあるところという意味であろう。
  • そこが2km先にあり、面白いという説明を受け歩きだす。海岸線を歩くと風が強く冷たい。フードをつける。回りの家の屋根がこのあたりの特徴である。REETという葦草を春に収穫し屋根を葺く。
  • 以下の左写真がこの屋根の家で、右が自宅の屋根裏に保存している葦草だが、この葦草を後ほど説明する牡蠣企業では、出荷する箱の下に詰めて出している。
  • ドイツ02_02.png
  • ドイツ02_05.png
  • 寒い中、2km以上歩いたと思うが、ようやくこの博物館へ着き、入ると結構大勢の人がいる。殆ど年配者でリックを背負った一人旅行者もいる。ドイツ語の説明書きでよくわからないが、展示物はかなり充実しているのではないかと感じた。
  • この博物館内に大勢いたことで疑問をもった。ヴェスターランド空港では客が少なく閑散としていた。観光シーズンではないので少ないと決めつけていたが、この博物館には人が集まっている。ということはズィルト島に観光客が来ているということになる。どうやってズィルト島に来たのだろう。その疑問に対する答えは後ほどお伝えしたい。
  • 博物館からの帰りは、海沿いでなく、一応島内の幹線的な道路を歩いてホテルに戻ると、すぐに部屋に案内された。この部屋、ドアを開けてその素晴らしさにビックリ。また、設備かいろいろあって煩わしいくらいだが、いろいろ触っているうちに何となく部屋が自分に馴染んでくる感じになってくる。この感覚が五つ星のホテルだと再評価する。
  • 夕食は18時にホテルレストランで食べた。まず、ドイツビール飲んで、魚料理を適当にメニューからオーダーしたが、これが絶妙の味。さすがだと思う。
  • 食後、インターネットでズィルト島を調べてみると、博物館での疑問がわかった。この島は大陸と地続きになっていて、列車で島に入れるのだ。なるほど、それで空港に観光客が少ないが、博物館では多かったのか、と思いつつさらに調べて見ると、大陸とは全長約11キロメートル、1927年に完成したHindenburgdamm ヒンデンブルクダムという築堤で結ばれていて、その築堤上を列車が通っている。ということは車では入れなく、車ごと列車に乗って走るという仕組みである。
  • 夜は風呂にゆっくり入って寝た。昼間の散歩が快い眠りを与えてくれグッスリ。
  • 牡蠣養殖場
  • 7時30分にタクシーでホテルを出て、期待の牡蠣養殖場に向かった。養殖企業は
  • Dittmeyer‘s Austern-Compagnic GmBH ディトマイヤー牡蠣有限会社である。社長は女性。さすがに首相が女性の国だけあって女性が活躍している。
  • 8時少し前に会社に着く。一階はレストランで、二階が事務所らしいが、まだ誰もいないので、レストラン裏の開いているドアから中をのぞくと、作業場と大きい水槽が二つあって、牡蠣が大量に入っている。
  • そこへ社長が愛犬ココを連れてやってきた。会社の歴史を語ってくれる。30年前に牡蠣養殖をしたい希望をもち、国との交渉を始め、創業は1986年、25年前である。
  • 社長は、学生時代に5年ほどこの会社の仕事を手伝って、その後旅行業界に入ったが、オーナーのディトマイヤー氏から相談受け経営を引き受け、牡蠣養殖の実務は作業しながら覚えたという。今の社員数はレストラン含め10人。
  • 現在、年間100万個80t生産。稚貝はアイルランドから輸入。ブランド名はSylter Royal。ドイツの牡蠣消費量は年間500tだから16%のシェアを占めていることになる。残りはフランスとアイルランドから輸入になる。
  • ドイツ02_06.png
  • ドイツ02_07.png
  • 作業場内にある二つの水槽には、一か所あたり2・3万個の牡蠣を入れている。水槽に牡蠣を入れるのは、海水が冷たくマイナス9度から12度となって表面が凍るので、牡蠣は死んでしまうから水槽で保管している。大体5カ月程入れ、重量で70gから90gくらいになったら出荷する。出荷する際のチェック項目は牡蠣同士をぶつけ音を聞いて中味を確認するという。出荷する箱は12個、25個、50個入りの三種類。出荷するまでの牡蠣の生育には3年かかる。
  • 社長が剥いてくれる水槽の牡蠣を食べてみる。素直な味で、後味は甘い。新鮮と感じる。社長が「海の味がしないか」と尋ねてくるが、この地の海についてまだ何も知らないので、具体的な表現は難しいと述べる。但し、味は美味い。剥きながら社長が1986年に東京、2006年は長崎に行ったという。

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